生きるために戦い続けてきた
傷つかないように鎧を身に纏ってきた
傷つけられないように人を避けてきた
ずっとそうやって生きてきた
ほんとうの自分なんてわからなくなるくらい
戦っている姿が自分なのだと
わたしは人がキライなのだと思っていた
ほかの人の鎧は見えるのに
戦わなくても生きていけるのだと
ほかの人には言えるのに
自分の鎧は見えない
戦い続けることが日常で、あたりまえで
鎧を脱いで休める場所
焚火を囲んで体をあたためる場所
そんな場所を見つけたとき
涙があふれてくるのを感じた
かつて戦ってきた人たちが
かつて鎧を何重にも重ね着してきた人たちが
ただじっと焚火を見ている
戦わなくていい
鎧を着なくていい
おたがいにそう伝えあっているように…
鎧を全部脱いで
武器も持たずに歩き出すことは
すこし怖いかもしれない
すこし戸惑うかもしれない
それでも…
ひとつずつ
少しずつ
鎧を脱いでいこう
武器を置いていこう
あなたも
わたしも
そのままで強いのだから
そのままが一番強いのだから