物心ついたときから父が大嫌いだった
大人になって
父のことを少し理解できるようになったけれど
心の距離は開いたままだった
そんな父が他界した
要介護状態だったし
状況はよく理解できていたから
心の準備はできていた
他界した直後から
やらなくてはいけないことがたくさんあって
その目の前のことに集中した
四十九日が過ぎ
日常が戻ってきたとき
わたしの中でなにかが失われている気がした
父はなにを考えていたのだろう
父はどうしたかったのだろう
父に聞きたいことが
たくさんあることに気づいた
もう聞くことができない
そのことが
わたしの中で大きくなって
苦しくなっていることに気づいた
なにを聞いても
もう父は答えてくれない
今のわたしを父が知ったら
苦笑いするのだろうか
うれしいのだろうか
それとも
不機嫌になるのだろうか
わたしの中でなにかが失われた
失われたものがなにかはわからなくても
それとともにいることが
父への供養なのだと思う
失われたものを探求し
失われたものとして受け止めることが
わたしの供養なのだと思う
そう
わたしにも供養が必要なのだ
わたしは生きていくのだから
父とともに生きていくのだから