心配性で過干渉な親は、自分ではいつも子どもの心配ばかりしているいい親だと思っています。
でも、子どもにとって、そんな親の心配性で過干渉な状態はとても負担だし、成長を阻害するものです。
このブログでは、親がなぜ過干渉になってしまうのか、についてお伝えしていこうと思います。
過干渉な親が心配しているのは自分自身
なぜ、親が子どもに対して過干渉になってしまうのでしょうか?
実は、子どもに過干渉な親は不安がとても強いのです。自分の抱えている不安から、子どもに対して過干渉になるのです。
こどもが自分の期待通りになっていないとき、思ったとおりになっていないとき、このままではまともな大人になれないのではないか?と不安になり、過剰に反応してしまうのです。
その結果、じっくり成長を待つとか、黙って見守ることができず、反射的に「こうしなさい」「これはダメ」「あれやったの?」「これどうなったの?」と口出ししたり、確認したりしてしまうのです。
子どもがもしうまくいかなかったら、自分がつらくなってしまう。
自分がつらい思いをしたくないから、子どもに失敗してほしくない、絶対うまくいってほしい。
過干渉な親は、自分がつらい思いをしてしまうのではないかという不安を抱えているのです。
つらい思いをするかもしれない自分を心配しているのです。
たとえば…子どもが受験を控えているとき
子どもが受験を控えている時期、過干渉な親はこんな心配をしています。
・子どもが受験に失敗したらどうしよう
・落ちたら子どもがかわいそうだ
・落ちたらショックで落ち込んでしまうのではないか
・自信を無くしてしまうのではないか
・負け組になって、人生が終わってしまうのではないか
親は子どものためを思って、心配していると思っています。
ほんとうにそうなのでしょうか?
子どもが受験に失敗することを望んでいる親はいません(一般的には)
親にとって、子どもが受験で落ちてしまうのはとても残念なことであり、悲しいことです。
でも、結果的に子どもが自分の考えが甘かったのだと気づいたり、何がいけなかったのかと反省したり、次こそがんばるのではないか…そんなふうに長期的な視点で考えることができます。
成長段階における、ひとつの経験だと捉え、あたたかく見守ることができます。
一方、過干渉な親は不安でいっぱいになってしまいます。
先述の心配例は子どもに対して向けているのではなく、不安でいっぱいの自分自身に向けている心配なのです。
・子どもが受験に失敗したらわたしはどうしたらいいのだろう
・子どもが落ちたらわたしがかわいそうだ
・子どもが落ちたらわたしはショックで落ち込んでしまうのではないか
・子どもが落ちたらわたしは自信を無くしてしまうのではないか
・わたしは負け組になって、人生が終わってしまうのではないか
自分がつらい思いをしたくないから、子どもに失敗してほしくない。
自分のために、子どもにはぜったいにうまくいってほしい。
子どものために心配しているわけではないから、あたたかく見守るということができず、口出ししたり、確認したりするのです。
子どもの受験は子どもの問題であって、親の問題ではありません。
でも、過干渉な親は子どもに自分の過去を重ね、一体化し、自分の不安=子どもの不安だと思い込み、あれこれ干渉しているのです。
過干渉な親がほんとうに心配しているのは、自分自身のことなのです。
親の心配は百害あって一利なし
日常的に親からいろいろ口出しされたり、確認されたりしたら、子どもはどうなるでしょうか?
あなたのために、あなたを心配して…と言われたら、子どもはどんな気持ちになるでしょうか?
「こうしなさい」「これはダメ」「あれやったの?」「これどうなったの?」と言われ続けたら、子どもはイヤな気持ちになりますし、やる気も失せてしまいます。
さらに、親の不安が子どもに伝染し、子ども自身も「自分にはできないのではないか」「自分にはムリなのではないか」と自己否定の感情が湧いてしまいます。
「がんばれ!」という一方で、「あなたにはできないのではないか」という矛盾したメッセージを受け取ることになるため、混乱した気持ちになってしまいます。
また、このようなメッセージは「がんばってうまくできれば価値がある」「がんばれなかったら価値がない」というメッセージにもなります。
親の評価=他者の評価を気にして生きることにもつながるため、人の顔色を窺ったり、対人不安が強くなったりもします。
親の不安が強いと、子どものトラウマとなり、大人になってから強迫症のような症状として現れることもあります。
親の心配は子どもにとって百害あって一利なし。
子どもの心配をするのは”いい親”ではないのです。
親のあるべき姿
では、どんな親が”いい親”なのでしょうか?
なんの不安もない親は相違ないと思います。
たとえ不安があったとしても、それを子どもにぶつけたりせず、自分の中に不安をしまっておいて、「あなたなら大丈夫」と励まし、一歩引いて見守る…
それが、親のあるべき姿だと思います。
親の役目は子どもを心配することではなく、子どもを安心させることです。
何ができたか、できるかで子どもの価値を測るのではなく、子どもがその子らしくいてくれたら、元気でいてくれたら、それだけでよろこびを感じられる…それは”いい親”なのです。
そういうメッセージを受け取った子どもは安心して、いろいろチャレンジしながら成長していくのです。
最後に…
親の立場でこのブログを読んで、心に痛みを感じた方もいらっしゃるかもしれません。
子どもの立場でこのブログを読んで、いまの自分の生きづらさの理由が分かった方もいらっしゃるかもしれません。
いつからでも、何歳からでも、改善することは可能です。
親の側でも、子どもの側でも、気づいたときからやり直せばいいのです。
気づくことが改善するための”はじめの一歩”なのですから。
次の一歩を踏み出すにはどうしたらいいか、それを知りたい方はカウンセリングを受けてみませんか?