「ニーバーの祈り」を知っていますか?
神よ、
ラインホールド・ニーバー 木下英夫訳
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを
識別する知恵を与えたまえ。
「ニーバーの祈り」を知ったとき、涙が出そうになりました。
”変えることのできるものを変える勇気”
”変えることのできないものを受け入れる冷静さ”
”変えることのできるものと、変えることのできないものとを識別する知恵”
過去の自分がどうして苦しかったのか、ここに集約されていると感じました。
変えられないものを変えようとすることが苦しさを生む
苦しさは期待と現状のギャップから生まれます。
・人と楽しく話したいけど(期待値)、怖さを感じて楽しめない(現状)
・自分のやりたいことをやりたいが(期待値)、他人の評価が気になってできない(現状)
・行動しようとすると(期待値)、動悸がする/脚がすくんで行動できない(現状)
変えられるもの/変えられないもの は 自分でコントロールできるもの/できないもの と言い換えることができます。
では、どんなものが自分でコントロールできて、どんなものはコントロールできないのでしょうか。
すでに起きてしまったこと、まだ起きていないこと、自分以外の人を変えることはできません。
また、自分の中でも感情や生理反応は直接コントロールすることはできません。
変えられるのは、”いま”と自分の思考や行動だけなのです。
思考とは、ものの見方、捉え方のことです。
たとえば、「仕事でミスをした」という状況に対し、「ミスをしたら終わりだ」と考えたり、「いい経験ができた」と思ったり…、これが思考なのです。
「ミスをしたら終わりだ」という思考があると、絶望的な感情や自分を責める気持ちが湧いてくるかもしれません。動悸がしたり、冷や汗をかいたり、そんな生理反応が出てくるかもしれません。
「いい経験ができた」という思考があると、次にどう生かそうか、ミスをどうやって防ごうかというポジティブな気持ちが湧いてくるかもしれません。
同じ状況も思考が異なることで、感情や生理反応が変わってくるのです。
”変えられないもの”を変えようとしても、変えられない。
変えたいけど変えられない、そんな状況に苦しんだり、変えられない自分を責めたりするのだ、ということを覚えていてほしいと思います。
変えることができることに目を向ける
苦しいときや自分を責めてしまうときなどは、まず その苦しさはどんなギャップから生まれているのか、に気づいていきましょう。
どんな期待があるのか、現状はどうなのか、を自分に問いかけてみます。
期待や現状がわかったら、変えることができること、自分でコントロールできることは何か、を考えます。
変えることができるのは、”いま”と自分の思考や行動でしたね?
いまできることは何があるだろうか?
ほかにどんな見方、捉え方があるだろうか?
どんな行動をすればいいだろうか?
過去や未来に意識を向けるのではなく、他人や自分の感情を変えようとするのではなく、思考や行動に目を向けましょう。
最後に・・・
わたしの体験をお話しします。
わたしは摂食障害(拒食→過食)でした。
過食したあとは、「食べることが止められないわたしはおかしい」という思考があり、「自分はなんてダメな人間だ」と自分を責め続けていました。
症状がおさまっていったきっかけは、「こんなに食べたいと思うんだから食べてもいい」「食べることをわたしは求めているんだな」と思い始めたことでした。
そう、思考が変わったことがきっかけで、自分を責め続けることから脱し、結果的に食べる行為がおさまっていったのです。
過去や未来、他者、自分の感情や生理反応など、自分では直接コントロールできないものを変えようとするのではなく、直接コントロールできる「いま」「自分の思考や行動」に目を向けてみましょう。
意図的に思考や行動を変えることで、苦しい状況や自分を責め続けてしまう状況から抜けだすことができますから。
思考や行動を変えることに取り組んでみたけど、ひとりではうまくできなかった…そんなときはコーチと一緒に取り組むことをお勧めします。
コーチはいまのあなたが気づいていない思考に気づいたり、ほかの視点に気づかせてくれます。
わたしのカウンセリングを受けてみたい方はこちらから…